前編にて、自然素材、天然素材は個性豊かだというお話しを致しました。
【天然のウールラグは、一枚一枚個性がある。前編】
今回は、その個性を活かすには、機械生産よりも手仕事の方が適している事をお話ししたいと思います。
■個性を活かすには、手仕事が最適
機械は基本的に、同質の素材を均質に加工するのに向いています。
より早くより多く生産できますが、均一ではない自然素材をすべて同じように加工すれば、無理が出てきてしまいます。
例えば、強い風に耐えた結果捻じれがある木と、日当たりがよく風も強くない所で素直にまっすぐそだった木。
同じ用途で使おうとどちらも同じようにそのまま均一に真四角に製材したとします。
捻じれがある木の方は湿気を吸って吐いていくと、その捻じれが表に出てきて、形が歪んだり、反りが出てしまったりします。
生きてきた場所によって、狂いが出やすい場所はまったく違います。
均質ではない自然素材を、機械で均一に形を作っていくのは、作り立ては良くても、時間が経つにつれて不都合が出てきてしまいます。
高温で強制的に乾燥させて、はじめから切れ込みを入れて割ってしまえば安定しますが、木の事を考えるならもっと良い方法があります。
それは、木の捻じれをそのまま利用してしまう事。
伝統木工建築では、右に捩じれている木、左に捩じれている木を組み合わせて、力をうまく流れるように工夫して、安定させます。
捻じれているという事は、力を受け流す方向が決まっていて、この方向からなら耐える力がある、という事です。
木が本来持っている力をそぎ落としてしまうのではなく、思う存分生かせます。
高温で無理に乾燥させて弱らせることもなく、力の流れを無視して均一に製材して狂うこともなく、木が本来持っている力を活かす。
そうして作った神社仏閣、民家はとても長持ちします。
伝統の技術って、実はすごいんです
誰にでも扱えるように均質にするために、どんな個性を持つ木もバラバラに砕いて、くっつけてしまえば、簡単に均質な材がつくれます。
けれど、その木が本来持っていた個性は、なくなってしまいます。
手仕事であれば、一本一本の木の特性を把握して、適材適所で使い分ける事ができます。
本来の意味で個性を大切にするって、そういう事ではないでしょうか。
例えば、震災で使い物にならなくなった木材を、機械や化学の力で合板等に加工して再利用したりするのは素敵な事だと思うのですが……山から伐採された木々をはじめから粉砕したり溶かしたりして利用しても、木は嬉しくないだろうと思います。
ほんの小さな種や若枝から何十年、あるいは百数年頑張って生きてきて、切り倒されたと思ったら自分の個性をまったく無視した使い方をされる……それだったら、暖炉で薪として燃やされる方が本望なのではないかな……なんて考える事もあります。
日本の文化を支えてきた木々も、個性豊か。特性を知って活用すれば、応えてくれます
■程良いバランスで、自分のしたい暮らしを実現する
とはいえ、そうして自然素材の特性を熟知し、活かすには、長年の修行が必要です。
そして良質な素材を使い、価値ある技術で作った物は、それに見合った値段がつけられます。
衣食住、生活の道具すべてをそうしたもので揃えるのは、ほとんどのご家庭にとって現実的ではありません。
また、時代の流れもあります。
手仕事の物が少なくなっていったのは、私達一人一人が、安く手に入る均質な物の方が良いと選んできたから、という所が大きいと思います。
私達一人一人が選んできた結果が、今の社会であり、その時の最適な答えなのかもしれません。
その末に今、手仕事の上質な物はますます高く、手にし辛いものというイメージがまとわりつきます。
それに手仕事しか選択肢がなかった時代は、人口も今より少なく、生活に必要な物の量が少なく、手仕事の物だけで社会が回る時代でもありました。
今の社会で完全に手仕事の物だけでまかなおうとしたら、作り手も、素材も、販路も、何もかもが追い付きませんし、足りません。
ですが、また自然素材のもの、手仕事のものの良さを見直そうという動きがあるのもまた時代の流れです。
ハグみじゅうたんも、自然素材を使った手仕事のラグを、多くの方に現実的に手が届く値段でご提供できるよう、工夫を重ねて作り上げた自慢のじゅうたんです。
良質で、品質のわりにリーズナブルなもの、近年増えてきたのではないでしょうか。
全部が全部、手仕事のもの、最上級の物でそろえる必要もありませんが、こだわりたいジャンルの物は、どんどんこだわって選んで……そうすれば作り手の人も潤って、より良い物を作ろうっていう流れがもっと強くなるのではないでしょうか！
上質なものは、使い心地も使い勝手もとっても良いです♪
思わずごろごろしたくなる気持ち良さ。
自然素材を使った手仕事の物。素材の特性を活かした物って、使い心地も良くって、長持ちして。使いこむほどに、愛着が沸いてきます。そうなるともっと大切に使っていきたくなる。
そんな素敵な物が多い暮らしは、人の心を豊かにしてくれます。
そんな暮らし方を大事にする人が増えれば、良質で長持ちする物を作る作り手も、増えていきます。
個性豊かな自然素材と、作り手も使い手も個性を尊重する、そんな社会に一歩でも近づけたら……なんて、夢を見てしまいます。
精一杯稼いだお金をどこに使うのか、優先順位は人それぞれです。
良質な物を長く使う選択をしたい方にとって、ハグみじゅうたんを選択肢の一つにしていただければ……嬉しいです。
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