ハグみじゅうたん事務局のある新潟では風が本格的に冷たくなってきて、朝晩だけでなく、日中から冬の気配を感じるようになりました。
温かいお鍋が恋しくなる時期ですね~。
我が家でも最近お鍋料理が続いております。
さて、そんな寒さが深まる最中、地元新潟の山に研修に行ってきました!
ウールも木も、同じく自然素材。
通じるところが確かにあるなあと思いながら、木々と触れあってきました。
林業体験で実感した、自然素材を扱う意味 目次
- 植林した山は、人が手入れをしていくもの
- 枝打ち体験
- 樹は一本一本全然違って、個性豊か
- 自然の素材を、「製品」「商品」にする難しさ
- 樹が生きてきた証
植林した山は、人が手入れをしていくもの
人が一度手を入れた山は、人が手をかけていく必要があります。
枝を打つ事で木の節をなくして樹を大きく太く長く育っていきます。
枝が減ると光が林に通り、草木が落ちる事で土が肥えて豊かになります。
そして樹が根を張る事で地盤を強くする。
そうして立派に育った木が、家や家具、薪等の材料になっていく。
伐採したら、また苗を植えて木を育て、資源を循環させていく。
木は手入れさえすればいつまでも使っていく事ができる、循環型の資源です。
枝打ち体験
私達が体験させていただいたのが、主に枝打ちと下草刈り。
私は枝打ちをやりました。
この木の
下の方の枝を切り取っていきます。
枝打ちにはいくつか効果があって、まずは節を減らしてなくしていく事があげられます。
「節有り材」「無節材」って聞いたことありませんか?
木目に出てくる丸い点々は、かつて枝が生えていた部分です。
それを早いうちに切り取っていく事によって、節をなくすことができるんです。
そして、木を上に上に伸ばしていく効果もあります。
樹は枝を伸ばして葉を広げる事により、太陽の光を浴びて栄養を取り込みます。
枝を打たずにそのまま成長していくと、ずんぐりと、根っこに行くにつれ太く、上に行くほど細くなる形になっていきます。
そうなると、まっすぐな材がほとんど取れず、木材として利用できません。
材として使うには、まっすぐ長く取ることが重要なんです。
いざ枝を切り取ってみると…… 思ったより柔らかくて、スイスイ切れちゃいました!
私達は体験用の小振りのノコギリでやりましたが、プロの方はナタを使って手早くやっていくそうです。
樹は一本一本全然違って、個性豊か
一本一本枝を打っていくうちに実感したのが、「一見同じように見える杉の木も、一本一本まったく違う」という事。
生えている場所によって、全然違うんです。
比較的まっすぐ育って行っている木もあれば、ツルが巻き付いて曲がってしまった木もあったり。
その曲がり具合も、グネグネに捻じれてしまった木もあれば、ちょっと根元が傾いちゃった程度の木もあったり。
枝が密集して生えている木もあれば、程よい間隔で生えている木もあり。
すくすくと成長している木もあれば、10年くらいでもうこれ以上成長できなさそうな木もあったり……。
ひとつひとつクセがあって、木って生き物なんだなあと実感しました。
あやしげなキノコも生えてました 笑
踏んでみたら、粉がぶわっと!
キツネノチャブクロと言うそうですね。
自然の素材を、「製品」「商品」にする難しさ
そんな個性豊かな木材たち。
家や家具等、木材を元にして作られたモノを見ても、そんな風に個性が豊かだったなんて想像しがたいのではないでしょうか?
自然素材ってとても個性豊かで、均質ではありません。
そんな素材を「製品」「商品」として、ある程度均質に整え、世の中に送り出す……
今迄何気なく見ていたモノたちに込められていた、職人さん達の技術や工夫を感じました。
山で見る紅葉は、ひときわ美しかったです
樹が生きてきた証
木は伐採するその時まで、土と繋がり水や栄養を吸い上げ、太陽の光から栄養を合成して、生きています。
伐りたての木の断面はとても冷たく、水をたっぷり含んでいました。
精油もたっぷり含んでいて 清らかな肌理です
この年輪のひとつひとつが、木肌のキメが、木が精一杯生きてきた証なんですよね。
これってどの自然素材も同じこと。
ウールの毛も、羊さんと一緒に生きてきて、刈られて、素材として人が使う。
一匹一匹羊さんの毛質は違うだろうに、ある程度均質な糸に紡いで、同じ形に整えていく。
クセのある自然素材を使いながら均質に近付けていくのって、それなりの技量が必要ですし、羊さんからいただいた毛を、無駄なく使っていきたいなあ……と当たり前の事を実感しました。
日本は戦後、大規模な植林が行われました。
しかし、近年は外国産の安い木材に押され国産材の需要が減り、手つかずの山が増えています。
山頂からの素敵な眺めを楽しみながら、地元の木を大事にしていける循環をもっと大きくできたら素敵だなあ、と思いました。
そして最後に枝打ちをして明るくなった林を見て、自然素材を扱う意味というものを少し体感できたように思います。
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