ウール（羊毛）ラグの優れた機能 汚れ難さの秘密

ハグみじゅうたん事務局がいつもお伝えしているウール（羊毛）の良いところ。
私たちはついつい当たり前の事と思ってしまっているのですが、全国のイベントでお客様にお伝えしていると、ウールの素晴らしさをまだご存知ない方もたくさんいらっしゃるのだなあ、と改めて実感します。「何でウールがいいんですか？」とご質問いただくこともあります。
もっともっと知っていただきたい！

繰り返しお伝えしていることではあるのですが、本日は汚れ難さとウールの繊維構造について、ウールの優れた機能や魅力をお伝えしたいと思います。

ウール（羊毛）ラグの優れた機能汚れ難さの秘密目次

ウール繊維の不思議な構造
水分のはじき方には個体差があります
ウール繊維が汚れに強いのはスケールのおかげ
ウール（羊毛）ラグの優れた機能汚れ難さの秘密まとめ

ウール繊維の不思議な構造

ウールは人間の髪の毛に良く似た構造をしています。
シャンプーのコマーシャルなどでもお馴染の「キューティクル」。
「キューティクル」は髪の表皮にあたる組織で、魚のうろこのように重なり合って外部の刺激から毛髪内部を守っています。
健康な髪はキューティクルが規則的に整って、髪につやを与えます。

ウール（羊毛）の場合、「キューティクル」にあたるのが「スケール」という、うろこ状の表皮です。

ウールの繊維構造

このスケールは油を持ったうろこ状の表皮で、水をはじく性質があります。
ウール（羊毛）は湿気を吸ったり吐いたりする調湿作用がある、と繰り返しご紹介してきました。調湿作用とは、湿気を吸ったり吐いたりするということ。
水をはじくのに吸収もする？とは、どういうことでしょう？？

ウールの吸放湿性

上図にあるとおり、スケール（表皮部分）に覆われた部分をコルテックス（皮質部分）といいます。コルテックスには吸湿性があります。
スケールは水滴をはじくのですが、分子の小さな水蒸気はスケールの間からコルテックスに入り込みとどまることができます。スケールの外側を覆っている薄い膜が湿気を吸うが水滴をはじくという不思議な性質を持っているのです。
そうして外気の変化に応じて、湿気を吸ったり吐いたりという呼吸をしているのです。

ウールの吸湿性、親水性はウールの成分の一つである19種類の「アミノ酸」が水とよく結合するためです。

上質なウールとは

健康な髪はキューティクルが規則的に整って、髪につやがあるというのはなんとなく皆様もご存知のことと思います。

キューティクルが整っている髪は艶やか

ウールも同じく、スケールがとても重要です。スケールが数多く、形状も配列も規則正しく成長したものがウールの特長である様々な機能を実現します。

・汚れ難い（汚れ離れがよい）
・調湿作用（湿気を吸ったり吐いたりして呼吸する）
・燃えにくい（燃え広がりにくい）
・静電気が発生しにくい
・繊維にクリンプという縮れがあるため、空気をたくさん含み弾力性、保温性が高い

ということは、スケールの発育が完全でなかったりするとウール本来の機能が弱くなる、ということになります。
見た感じだけで判断するのは難しいですが、触った感触がぱさぱさしていたり、ごわごわしていたりしたら、スケールの発育が良くないか、スケールの油がなくなっているために本来の機能が発揮できないウールになっている可能性があります。

ウールは湿気を良く吸収し、30%以上の湿度を吸っても湿った感じを出さないと言われています。
そのため、上質なウールは夏の暑い時期に汗をかいた肌で接しても、ジメジメした嫌な不快感を感じにくいのです。

ギャッベとハグみじゅうたんの違い～ラグや絨毯をお探しの方へ～

▲ 上質なウールで織り上げるハグみじゅうたんとギャッベとの違いは？違いをわかりやすく比較してみました。

水分のはじき方には個体差があります

では、ウールがラグや絨毯として「製品」になってからはどうでしょう。
ハグみじゅうたんの場合、飲み物などをこぼした時にすぐに吸い込まれずに、表面に止まっている時間が少しあります。
これは、ウールの繊維そのものがたくさんの空気を含んでいることと、パイル（毛足）の先端にもたくさんの空気があるためだと考えられます。（毛足と毛足の間に表面張力が働く）

表面に止まっている間に拭き取ることができれば、汚れる事はほとんどありません。

ですが、液体をこぼした場合のしみ込むスピードには個体差があります。使っていくうちに毛先がほぐれていくことや、湿度なども影響しているのかもしれません。
そこで、スタッフ所有の「ており」シリーズで水がしみ込む様子を動画撮影してみました！

ハグみじゅうたんておりシリーズの場合

ウール繊維が汚れに強いのはスケールのおかげ

ウール繊維が汚れに強い秘密は「スケール」のおかげです。
こぼした水分がラグや絨毯に吸い込まれたからといって、汚れが落ちないわけではありません。ウールの「スケール」のおかげで、繊維1本1本の奥まで
　水滴が入っていきにくい＝汚れが入っていきにくい
その為、早めにお手入れをすれば汚れ落ちが良いのです。
静電気を帯びにくいことも、汚れ離れが良い理由の一つかもしれません。